Romance / The Vocal Styling Of Oscar Peterson

 僕はライブに行って、ベースやキーボードが黒人の場合、あらかじめ油断しないでおくクセができている。何をか?彼らが突然、リードボーカルをとって美声を披露しても驚かないようにだ笑 ジャズやフュージョン系のアーティストというのは、スタジオ・ミュージシャンである場合が多い。メインの楽器だけでなく、複数楽器ができて、コーラスも出来て、という人はザラにいる。とりわけ、黒人系はそもそも生まれつき「聴ける」レベルに歌がうまい人がいっぱいいるので、ボーカルをとることも多い(昔、デトロイトのバーで黒人がカラオケしているのを通りすがりに聞いたが、思わず「それ、カラオケでやるレベルちゃうやろ!」とツッコんでしまった)。 

 と、いうわけで、オスピーのボーカルアルバム。



アフリカ系にしては線の細い声である。が、やはり上手い。なんというか、彼のピアノと一緒で、ぜんぜん押し付けがましさがなく、ただただ繊細で、流麗で、カッコいい。オスピーの凄さは、いろんなジャズを聴き込めば聴き込むほど、再認識させられる。ある意味、究極のジャズ・ミュージシャンである。



↑ セッションなんかではめったにやることがないと思うが、"Ain't We Got Fun?" を作曲した Richard Whiting による小粋なスタンダードだ。何か翻訳したくなったので、以下に私訳(超訳)を。

 君の素晴らしさは、ああもう言葉になんてできないよ 
「華やかな」「麗しの」それにお決まりの「愛おしい」 
どれも君の魅力にはかなわない。どんなに探しても見つからないよ 
とても言い尽くせないんだ。ぜんぜん足りないってことさ 

だって君はもっともっと、あまりにも最高だから
ウェブスター辞典になんか収まりっこない 
だから小鳥たちの愛の歌から、言葉を借りることにしたんだ 
君が素晴らしいって、言葉に尽くせないほどなんだって伝えるために 

You're just too marvelous, too marvelous for words 
Like glorious, glamorous and that old standby amorous 
It's all too wonderful, I'll never find the words 
That say enough, tell enough, I mean they just aren't swell enough 

You're much too much and just too very, very 
To ever be in Webster's Dictionary
 And so I'm borrowing a love song from the birds 
To tell you that you're marvelous, too marvelous for words

原詩は韻の踏み方がシンプルに気持ち良い。アメリカ文学研究者としては、盟友「ウェブスター辞典」に言及してあるところもニクい。

ところで、ジャズ・ミュージシャンのボーカルものはいろいろあるけど、最近聞いてて「ドウシテコウナッタ」と思ったのがコレ↓



トランペッターが歌うとなれば、あの世紀の名盤チェット・ベイカー・シングスとどうしても比較してしまうが、いやはや、ドーハムよ・・・なぜ歌ったし・・・・

コメント

人気の投稿